「最近、ライブアイドルの現場にお客さんが減っている」。そんな話がXで話題になっていました。

私は普段、ライブに通いながら、ステージの写真や動画を撮っています。コールについても、実際の曲のどこに入るのか、どうしたら初めての人にも分かるかを考えながら記事にしてきました。

だから、この話を見て気になったのは、減ったと言われているのは、どんな公演の、何なのかということです。チケットを買った人の数なのか、何度も通う人の数なのか。それとも、フロアでコールを始める人の数なのか。

今回は、Xで出ていた話をきっかけに、公開されている数字と、自分が現場に通うなかでかかった費用から考えてみます。

話題のきっかけは、客数と売上のずれを指摘した投稿

2026年11月1日、斉藤Kさんは、ライブアイドルの客数が減っているという実感をXに投稿しました。チェキ券のまとめ売りや生誕・卒業などの特別な公演があると、売上だけでは普段の客足の変化に気づきにくい、という指摘です。続く投稿では、この界隈に初めて来る人を増やし、その後も通ってもらう必要があると書いていました。

まとめには、ドリンク代が上がって足を運ぶ頻度が減ったという声や、対バンが増えて人が分散しているのではないかという意見がありました。一方で、夏フェスは混雑していて、若い人や女性が増えたと感じた人もいます。どちらも、それぞれが見た現場の話です。

「盛り上がらない」と感じる理由は何か

「昔の方が盛り上がっていた」という声を見て、私が通ってきた現場を振り返ってみました。

10年以上前、私はAKB48を応援していて、当時『地下アイドル』と呼ばれていたグループのライブにも足を運んでいました。

私は最近の地下アイドルという呼び方があまり好きではありません。「地上」「地下」と優劣をつけるような使い方をしている人を多く見かけるからです。

当時の私は、地下のライブハウスで活動するアイドルを指す言葉として受け取っていました。その頃は対義語として「地上」という呼び方をしているのはほとんど聞いたことはありませんでした。

私が当時通っていた現場では、スタンダードMIXや日本語MIX、アイヌ語MIXをよく耳にしました。今通っている現場では、それ以外のコールもよく聞きます。少なくとも私が見てきた範囲では、今の方が、曲に合わせて声で参加するやり方は多彩に感じます。

アイヌ語MIXは結局通っていた当時は覚えられずに終わりましたが、今では自分でコール講座の記事を書くようになっているとは、当時の私には想像もできなかっただろうなと思います。

他にも通っていたアイドルのライブの特長で、民族大移動と呼ばれる、曲に合わせてフロアの左右に観客全員が移動するような場面もあって、盛り上がったのは覚えています。
そういった盛り上がり方も、最近のライブで見なくなったわけではありません。

そしていったん私は地下アイドルの応援から離れ、シンガーソングライターや声優を応援する事になったのですが、それはまた別のお話です。

私はコロナ禍の真っ最中から、再びライブアイドルの応援に通うようになりました。
コロナ禍に私が通っていたライブでは、マスク着用が求められ、声を出せる公演は限られていました。

なので、私のライブを楽しむスタイルは振りコピやペンライトを振っての応援が基本でした。
撮影可能なグループを応援している時は、撮ったり振りコピしたりとレギュレーションに合わせて楽しんでいました。

そういった経緯もあって、コロナ禍を終えて当たり前のように声を出せるようになった最近のライブで「盛り上がらない」と感じた事はあまりありませんでした。

ただ、開場から参加した対バンの序盤など、フロアに片手で数えられるくらいしか人がいないというような状況は何度か経験しました。

私自身は一人でもどんどん声を出して、アイドルからのあおりにも積極的に乗るスタイルなので、むしろそういう状況の方が燃えるのですが、そういう人ばかりではない事も理解しています。

そういった時にはアイドルがステージで歌っているのをフロアから何人かの観客が静かに見守っているという状況になりやすいのかなと思います。
特に平日の早い時間帯、働いている人が多いような時にはそういった状況になりがちなのはなんとなく想像ができます。

人は増えて来たけれど声を出す人が全くいないという時間帯もあるでしょう。ですが、そういった一部の時間帯だけを見てライブアイドル現場が盛り上がらないと評価するのもまたちょっと違うような気もします。

同じ対バンでも、会社で仕事を終えて駆けつけやすい時間帯にタイムテーブルが配置されているグループは固定ファンが集まり、ファンがコールの先導をして周りを巻き込み、とても盛り上がっているという状況もよく見かけます。むしろこちらの方が多いです。

私が見てきた対バンでは、同じ公演の中でも、出演時間によって客入りに差がありました。さらに、別の会場で行きたい公演が重なれば、どちらかを選ぶことになります。こうした公演の重なりが以前より増えているのかも、気になるところです。

ライブハウス公演の集計から、小箱の客入りは分かる?

コンサートプロモーターズ協会(A.C.P.C.)の2025年の調査では、会員社が開催したライブハウス公演は15,964本、延べ動員は約764万人でした。前年に比べ、公演数は0.6%増、動員は13.0%増です。

ただし、2025年からは一部の賛助会員社も調査対象に加わっています。会員社が開催した公演の集計で、ジャンルもライブアイドルに限りません。この数字で、普段のアイドル対バンの客入りが増えたかどうかは分かりません。

売上が同じでも、来場者が減り、一人が買う特典券の枚数が増えていることはあり得ます。また、年間の延べ動員が増えていても、特定の曜日や会場に限ると客入りが減っているかもしれません。ここを確かめるなら、生誕や卒業は分けて、同じ地域・規模の箱で、似た曜日や時間帯の通常公演を比べたいところです。

出典:A.C.P.C. 2025年のライブ市場調査の概要/会場規模別の結果(ACPC navi)

グループが増えて、同じ日に行きたい現場が重なっている?

日本ご当地アイドル活性協会は、東京都を除く46道府県のアイドル数を公表しています。

調査時点協会が集計した数
2016年7月768組
2019年7月1,661組
2026年7月2,511組

協会の集計では、10年前の約3.3倍、コロナ禍前の2019年と比べても約1.5倍です。ただし、2025年7月に活動状況の再調査が入り、その前後で数え方の条件が違います。東京は対象外なので、これをそのまま都内のライブアイドルの増え方に置き換えることもできません。

それでも、ファンの人数だけでなく、同じ時間帯に行ける公演がいくつあるかは見てみたいです。グループが増えれば、新しい推しに出会う機会も増えます。一方、行きたい公演が同じ日の同じ時間に三つあっても、足を運べるのは一つです。

分散を調べるなら、グループ数だけでなく、たとえば都内の土曜夕方に開かれる対バンの本数を過去の同じ時期と比べる。さらに、比較できる公演の来場者数があれば、一公演あたりの客入りも見る。その二つがそろって、分散という説明がどのくらい当てはまるか考えられます。

出典:日本ご当地アイドル活性協会「ご当地アイドル数の推移」

若い人にとって、初参加と通い続ける負担はどのくらい?

Xには、チケット代、販売手数料、特典券、ドリンク代を合わせると、交通費を入れる前でも6,200円になるという試算もありました。これは一人が挙げた条件で、相場の調査ではありません。

私がembellirのライブに通っていた頃の目安は、1回約5,100〜5,400円+手数料でした。チケット約2,000円、ドリンク600〜700円、写メ券1,000円、往復交通費1,500〜1,700円です。特典会に参加しないなら、その分はかかりません。この内訳で月4回通うと、手数料を除いても約2万円になります。

関連記事:ライブアイドルの推し活は1回いくら? 現場に通う私の費用

では、昔より若い人の収入が減ったのでしょうか。労働政策研究・研修機構が厚生労働省の調査をもとに比較したところ、一般労働者の年齢階級別の名目賃金は、2015年より2025年の方が上がっています。物価も上がっているので、この賃金だけを見ても、若い人が趣味に回せるお金がどう変わったかは分かりません。

私が気になるのは、初めて一度行く負担と、好きになったあと毎月通う負担は違うことです。初回はチケットとドリンク代だけで行けても、特典会にも行きたい、別の公演も見たいとなれば、月の出費は変わってきます。若い人の参加を考えるなら、初回に来た人数と、数カ月後にも来ている人数を分けて見たいです。

出典:労働政策研究・研修機構「年齢階級別にみた賃金」/総務省統計局「2025年平均 消費者物価指数」

常連が通い方を変えたら、人数が同じでもフロアは変わる

以前よく来ていた人が年を重ねて、仕事や家庭の事情で通う頻度を落とした。前方で声を出すことが多かった人が、後ろで見るようになった。推していたグループの活動終了を機に、現場から離れた。そういう変化が重なれば、入場者数に大きな差がなくても、フロアの雰囲気は変わりそうです。

もっとも、昔から通っていたファンが今どうしているかを追える資料は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。年齢だけで熱量を説明するのも難しいです。コールのしやすさには、楽曲や公演ごとのルール、周りに知っている人がいるかも関わります。静かに見ている人も、その人なりにライブを楽しんでいます。

配信やVTuberなど、家にいながら楽しめるものに時間やお金を使うようになったのでは、という声もありました。これも、現場を離れた人に理由を聞いてみたい仮説です。

カメコとして撮ってきた映像で振り返るなら、同じ会場の似た公演を選び、どんな場面でコールが始まったか、周りがどう応えたかを見てみたいです。カメラに入っていない客席まで数えることはできませんが、映っている範囲なら振り返れます。

初めて来た人が、また来やすい現場か

今回見た数字だけでは、ライブアイドル全体の客足が減ったとは判断できません。ただ、普段の小箱で何が変わったかを考えるには、来場者数、通う頻度、フロアでの楽しみ方を一つずつ見た方がよさそうです。

初めてライブに行く人は、まず費用とチケットの取り方が分かると、予定を立てやすくなります。ライブの見方や特典会の流れも、先に知っておけると安心です。声を出して応援したい人は、コールを予習することもできます。

初めて来る人の迷いを減らすことなら、自分にもできます。

最近、通う回数やライブの楽しみ方が変わった人は、何がきっかけだったでしょうか。逆に、最近初めて行って、また行こうと思った人は何がよかったでしょうか。どちらの話も聞いてみたいです。