知らないアイドルのダンス動画で手が止まりにくい理由

アイドルのTikTokを好んで見るファンの多くには、すでに決まった推しメンがいます。

推しメンとまではいかなくても、「この子の動画はなんとなくいつも見ているし、応援している」というアイドルがいる人も多いでしょう。

そうしたファンは、おすすめ画面に流れてきた動画を待つだけでなく、目当てのアイドルのプロフィールを自分から開いて動画を見に行きます。

私自身も、通知欄に表示されたストーリーからアイドルのプロフィールへ直接移動することが多く、その場合はおすすめ画面をほとんど経由しません。

それでも、推しメンがストーリーを更新していないときや、なんとなく時間が空いたときには、おすすめ画面を開くことがあります。

ここが、まだ自分を知らない「もしかしたら応援してくれるかもしれない人」に見つけてもらう、数少ないチャンスです。

しかし、その一瞬に表示されたのが、誰がどんな目的で投稿しているのか分からないまま、音源に合わせて踊っているだけの動画だったらどうでしょうか。

多くの場合、その子自身の魅力やダンスの違いが伝わる前に、次の動画へスワイプされてしまいます。

それは、そのアイドルが嫌われているからではありません。

まだ「この子の動画を見る理由」がないからです。

すでに推しメンがいるファンにとって、知らないアイドルの動画は、違いを理解する前にはどれも似た投稿に見えやすいものです。推し以外のアイドルへの反応を、あえて控えている人もいるでしょう。

それでも、おすすめに表示された一瞬で「この子は何を目指しているんだろう」「明日はどうなるんだろう」と思ってもらえれば、いきなり推しメンになることはなくても、「なんとなくいつも見ているし、応援している子」の枠には入れるかもしれません。

この記事で最初に狙うのは、その枠です。

毎日投稿を単なるダンス動画の積み重ねで終わらせず、初めて見た人にも続きが気になる物語へ変える。その入口となるのが、動画の冒頭3秒です。

今TikTokの伸びに悩んでいるアイドルにとって、今より一つ上の段階へ進むための考え方と具体的な作り方を、ここから紹介していきます。

音源に自分の言葉を重ね、見る理由を作る

アイドルをしている皆さんはみんなとても顔が整っていて可愛い・綺麗な人ばかりです。

そして踊っている音源もアイドルファンの中では有名でキャッチーなものを選んでいることが多いでしょう。

私も現在TikTokでたくさんの動画を投稿しています。
ただし、私はアイドルではないので踊りませんし、顔も出しません。

声だけは最近少し自分で入れることも出てきましたが、基本的にはAIナレーションです。

そんな私の動画も、ものによっては数千から数万の再生数に伸びることがあります。

最も伸びて約4.6万回再生された動画は冒頭で「便利グッズのやらかし2選」とテキストとナレーションを入れ、
「何について、いくつ紹介する動画なのか」と具体化しました。

これが結果的に「どんなやらかしなんだろう?」とスワイプの指を止めさせる効果があったのかなと思いました。

顔や有名な楽曲以外にも、「答えを知りたい」「変化を見届けたい」「完成まで見たい」という視聴理由は作れるのだと思いました。

私はCapCutのテンプレートクリエイターとしても活動しています。
そして、以前テンプレートを投稿する時に動画内に全く音がない無音のテンプレートを投稿したのですが、
その時にCapCutのクリエイターセンターから「音がないためオススメから除外しました」という警告が来ていました。

CapCutとTikTokはいずれもByteDanceの製品群に含まれています。

この警告だけでTikTokのおすすめ判定まで同じとは断定できません。

ただ、私が動画の「音」を意識するきっかけにはなりました。

音源を再生して踊って撮影した場合、動画側の音声は録音されず、
音源の音だけが入った動画になります。

これは私自身、推しメンと一緒にTikTok企画を撮影したときや、
ツーステを踏む動画を撮影したときにも、
撮影現場の音声が入らず、選択した音源だけになることを確認しています。

動画内で流れるのが音源の音だけの場合、
画面上で踊っているのはそれぞれ違うアイドルですが、
視聴者が耳から受け取る情報は、ほかの投稿と同じ音源だけになります。

そして何より、動画の冒頭からいきなり踊っている動画には、
ダンスや表情から魅力は伝わっても、初めて見る人には、
その子が何を目指しているのか、なぜこの動画を投稿しているのかまでは伝わりにくいのではないかと思いました。

音源だけをただ流すのではなく、「その人の言葉」を一つ重ねる。
これがその人にしか出せない個性になるのではないかと思いました。

毎日投稿を続けるアイドルであれば、

  • ワンマンまであと〇日
  • 今日は苦手な振りを〇回成功させます
  • 生誕祭まであと〇日。手作り生誕衣装、実はまだ完成していません
  • 〇日後にこの曲を踊り切りたい
  • 今日初めて見つけてくれた人へ
  • TikTokからライブに〇人来てくれるまで継続

など、音源だけでは伝わらない本人の状況を表す冒頭の一言を、
声、AIナレーション、画面上のテキストで補う事がスワイプの指を止めさせる最初の一歩ではないかと思いました。

「〇〇するまで毎日投稿」で物語を始める

「○○するまで毎日投稿」は、投稿者には続ける理由ができ、視聴者には次の動画も見る理由が生まれる、最もシンプルな継続テーマです。

私自身も飼育しているキンクマハムスターの日向葵ちゃんと仲良くなるまでの継続テーマとして、
「日向葵ちゃんが手に乗ってくれるまでおやつチャレンジ」と題して、
指や手からおやつやごはんを差し出し、食べてくれるのか、逃げてしまうのかを動画に残しています。

食べてくれた日は少し進展したのが伝わりますし、
そっぽを向かれた、巣箱にダッシュで逃げられたなどもそれはそれでコミカルな映像になります。

冒頭では、その日のクライマックスを結末が分かり切らない長さで一瞬だけ見せ、シリーズタイトルを読み上げます。その後、おやつを準備する場面から実際の結末までを順番に見せることで、つかみとストーリー性を作っています。

同じクライマックスを終盤ではしっかり見せ、「仲良くなれるまであと何日?」や「今日は手から食べてくれました」といった現在地を表示して締めています。

こうする事で冒頭でつかみつつ、最後まで見る理由を作るようにしています。

こういった構成が出来るので、○○するまで毎日投稿という形式は物語を始めるのにぴったりなのです。

アイドルであれば、
「生誕祭までに手作り衣装を完成させる」「30日後までに新曲を踊り切る」
「『TikTokを見て来たよ』を〇人から聞けるまで続ける」などに置き換えられます。

成功した日だけでなく、失敗や苦戦も物語の一部にできるのが、この形式の強みです。

特に『TikTokを見て来たよ』の言葉は、その人がTikTokを継続して見てくれている限り、
動画のラストで表示される累計〇人の一人が自分なんだと実感できる、残り続ける数字になります。

視聴者が応援に参加できる目標の作り方

視聴者の行動によって数字が一つ進み、その数字が次回以降の動画にも残る目標は、
ただ見るだけだった人を物語の参加者に変えます。

前項でも挙げた、「TikTokを見て来たよ」を〇人から聞けるまで毎日投稿シリーズにした場合、
締めに表示する数字は実際にその動画を見て現場に足を運び、
実際に現場で合言葉を伝えてくれた参加者です。

その一人一人が累計として動画に残り続けるのは自分も企画の一部として残っている、という参加実感になります。

もちろんある程度反映ルールは作った方がいいでしょう。

最初にカウント方法を決める

人数、のべ回数、新規来場のどれを数える企画なのかを明示する。

以前からのファンも参加できるルールにする

「初めて合言葉を伝えた人は、以前からのファンでも参加者として数える」などの方法を紹介する。

数字が増えなかった日も物語になる

増えなかった事実も隠さず、現在地として残す。次回の応援理由にもなる。

特に最初の項目、カウント方法を初見のみにするのかはとても大切です。

ですが、ここで初見の人しかカウントしないとすると、
その動画企画を始める前から応援してくれている人は数字に入ることが出来なくなります。

であれば、同じ人が何回来て合言葉を伝えてもカウントするようにしてもいいのではないかなと個人的には思います。

もしくは、その合言葉を初めて言ったのであれば元々のファンもカウントしますという形式もよいでしょう。

他にも視聴者が参加出来る目標は様々あります。

ここで挙げているのはあくまで一例にすぎませんので、
こんな企画ならTikTokの視聴者、現場に来てくれる人、
みんなが参加できるという型を一人一人がまずは考えるという事がとても大切です。

繰り返し表示されたときに認知へ変わる仕組み

継続企画をするときに心がけたいことがいくつかあります。

  • シリーズタイトルを毎回同じ位置に表示
  • 「開始から〇日目」「累計〇人」を固定表示
  • 冒頭の読み上げ方や色を揃える
  • その日の出来事と結末は毎回変える

シリーズとして統一するべき部分は統一しておくことで、
初見でも企画を理解でき、既視聴者には進展が伝わるようになります。

この企画の強いところは、動画自体は毎回違うものなのに、
型が決まっている事で、最初は「知らないアイドル」でも、
何度かオススメに表示されれば「前にも見た企画の子」になる事が出来るところです。

いきなりフォローしてもらったり推しになる事を狙う前に、
「またこの子だ」と認識してもらえることが最初の成果になります。

TikTokだけで終わらず、ライブへの来場につなげる

そして継続企画をしていくことの一番の目的は、
やはりそこをきっかけとして実際のライブに来てもらう事ではないでしょうか。

その為にまず整えておきたいポイントがいくつかあります。

  • プロフィールに所属グループと主な活動地域を書く
  • ライブ予定と予約先へすぐ移動できるようにする
  • 固定動画に自己紹介・ライブ映像・初めての人向け案内を置く
  • 動画の最後に次の出演日を短く表示する
  • 初見料金・会場・予約方法など、来場前の不安を減らす
  • 現場で伝えられる合言葉を用意する

まずはこの辺りを整えておけば、
オススメから来てくれた貴重な一人を逃してしまう可能性を少しでも減らせるかもしれません。

アイドルのTikTok運用についてよくある質問

TikTokは毎日投稿した方が伸びますか?

毎日投稿すれば必ず伸びるわけではありません。

ただし、「〇〇するまで毎日投稿」のような継続企画にすると、前回からの進展を伝えやすくなり、視聴者にも次の動画を待つ理由が生まれます。

毎日続けることが難しい場合は、無理に投稿数だけを増やすのではなく、週に数回でも同じ企画を継続することが大切です。

アイドルはTikTokに何を投稿すればいいですか?

ダンス動画だけでなく、目標に向かって進んでいる過程も動画にできます。

「生誕祭までに衣装を完成させる」「30日後までに新曲を踊り切る」「TikTokを見て来たよと〇人から聞けるまで続ける」など、進展を数字や日数で表せる企画は継続投稿と相性が良いでしょう。

成功だけでなく、失敗や苦戦もその日の物語になります。

ダンス動画だけでは伸びませんか?

ダンス動画だけでも、多くの人に見てもらえる可能性はあります。

ただし、初めて見る人には、踊っている本人が何を目指しているのか、その動画をなぜ投稿しているのかまでは伝わりにくいことがあります。

音源に本人の言葉やテキスト、ナレーションを一つ加えることで、その人にしかない視聴理由を作れます。

TikTokの冒頭3秒には何を入れればいいですか?

シリーズタイトル、その日の現在地、結末が気になる一言を短く入れるのがおすすめです。

例えば、「ワンマンまであと10日」「挑戦開始から7日目」「今日は苦手な振りを成功できるのか」などです。

結末を最初にすべて見せるのではなく、一番気になる場面を一瞬だけ見せて、続きを見たくなる形にすると物語を作りやすくなります。

TikTok動画には自分の声を入れた方がいいですか?

必ずしも自分の声を入れる必要はありません。

本人の声、AIナレーション、画面上のテキストなど、企画や続けやすさに合った方法を選べます。

大切なのは、音源だけでは伝わらない本人の状況や目標を、初めて見る人にも分かる形で加えることです。

TikTokからライブへの来場につなげるにはどうすればいいですか?

動画を見て興味を持った人が、次のライブ情報や予約方法をすぐ確認できる状態にしておきましょう。

プロフィールに所属グループと活動地域を書き、ライブ予定や予約先への導線を用意します。自己紹介、ライブ映像、初めて来場する人向けの案内を固定動画に置くことも有効です。

動画の最後に次の出演日や現場で使える合言葉を表示すると、視聴から来場までのきっかけも作れます。

この記事を読んでくださったあなたへ

私自身はアイドルではありません。
ライブへの集客を目指しているわけでもありません。

ですが、応援しているアイドルが努力しているのになかなか結果に結びつかず、
悔しい想いをしているのをそばで見守ってきた経緯があります。

顔出しなし、自分の声も出さない。
そんな動画でもたくさんの人に届けられることを知りました。

この記事をきっかけに、毎日投稿を頑張っているアイドルが、
毎日投稿を一日でも長く続ける理由になったり、
一人でも多くの人に見つけてもらうきっかけになったり、
企画がうまくいって、
「本当にワンマンライブを人でいっぱいにできた!」
という結果に結びついてくれたら、
こうして自分自身でも試行錯誤をしたことが全部報われます。

この記事は、たとえ一人でも、必要としている人に届いてくれればいいと思いながら書きました。

そして、ここまで読んでくださったあなたは、私にとってもう「知らないアイドル」ではありません。

これから始まるあなたの物語を、見つけた一人として応援しています。