友人にサブ機のEOS Kiss X10iを貸したところ、「使い方を教えてほしい」と頼まれました。
口で説明するより、私が実際にライブ現場で使っていた設定を数字でまとめておけば、友人だけでなく、これからキットレンズで撮り始める人の役にも立つと思い、記事にしました。
この記事では、X10iを主に使っていた頃に、ライブアイドルの現場で使っていた設定を紹介します。フルサイズの5D Mark IVに持ち替えてからの設定は、EOS 5D Mark IVでライブ撮影【フルサイズ編】でまとめました。
使っていたカメラとレンズ
- カメラ:Canon EOS Kiss X10i(APS-C)
- レンズ:ダブルズームキットに付属していた純正レンズ2本
- EF-S18-55mm F4-5.6 IS STM(広角〜標準)
- EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM(望遠)
X10iを買うときに、単焦点レンズも一緒に買いました。
- Canon EF50mm F1.8 STM
F1.8まで開けられるので、キットレンズより明るく撮れて、背景も大きくぼかせます。今は5D Mark IVに付けて、特典会の撮影に使っているレンズです。
途中からは、APS-C用の高倍率ズームレンズも買い足しました。
- TAMRON 16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO(Model B016)
買ってからは、ライブは基本的にこのレンズで撮っていました。ただ、純正ではないからか、たまに色味がおかしくなることがありました。そのため、大事なライブではキットの55-250mmに付け替えていました。
友人に貸したのは、キットの純正レンズ2本です。
まず覚えるのは3つの数字だけ
カメラの画面にはたくさんの表示がありますが、ライブ撮影でまず見るのは次の3つです。
| 表示 | 名前 | 何が変わるか |
|---|---|---|
| 1/250 など | シャッタースピード(SS) | 動きを止められるか。速いほど止まるが暗くなる |
| F4.0 など | F値(絞り) | 取り込む光の量。数字が小さいほど明るい |
| ISO 3200 など | ISO感度 | 明るさを後から持ち上げる度合い。上げるほどノイズが増える |
カメラは、シャッターを切った瞬間だけシャッターが開き、センサーに光が当たります。
その開いている時間の長さを決めるのがシャッタースピードです。
F値(絞り)は、レンズを通してどのくらいの光を取り込むかを決める数値です。
F値を大きくする(絞る)と、その分レンズを通ってくる光が少なくなります。
シャッタースピードを速くした場合も、光を取り込む時間が短くなるため、センサーに届く光の量が少なくなります。
そのため、F値もシャッタースピードも、画面に表示される数字が大きいほど、写真は暗くなります。(シャッタースピードは画面に「250」「1000」のように表示され、1/1000のほうが1/250より速いシャッターです)
そしてISO感度は、センサーが受け取った光を、どのくらい増幅して明るくするかを決める数値です。
ISOを上げると、届いた光が少なくても明るく撮ることができます。
ただ、増幅するときには、光の信号と一緒にもともと混ざっている細かなざらつきまで大きくなってしまいます。これがノイズです。
F値で変わるもう一つの事:背景のボケ
ポートレートなどで、人物にはくっきりピントが合っているのに、
背景が大きくボケている写真を見たことはありませんか?
あれは、F値によって変わる「ピントが合って見える範囲の奥行き」によるものです。
この範囲のことを被写界深度といいます。
F値を小さくすると、ピントが合う範囲は前後に浅くなり、
ピントを合わせた人物以外が大きくボケます。
反対にF値を大きくすると、ピントが合う範囲が深くなり、手前から奥まで広くくっきり写るようになります。
ただし、F値を大きくするとレンズを通る光は少なくなります。
背景をぼかしたいのか、広くピントを合わせたいのか、
そして会場の明るさが足りるのか。この3つのバランスで、F値を決めることになります。
私が特典会で撮るときは、ソロならF2.8〜3.2くらい、ツーショットならF3.5にしています。
ツーショットでは並んだ2人の顔にピントを合わせたいので、ソロのときより少しF値を大きくしています。
基本の設定
| 項目 | 設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 撮影モード | M(マニュアル) | SSとF値を自分で決めるため |
| ISO感度 | オート(上限3200) | 明るさはカメラに合わせてもらい、ノイズが目立つ手前で止める |
| AF動作 | AIサーボAF | 動く被写体にピントを合わせ続けるため |
| AFエリア | いくつかのAFフレームがまとまったモード(おそらくゾーンAF) | 顔の辺りを狙いつつ、ある程度範囲に柔軟さがあるので選んでいました。 |
X10iには、5D Mark IVで使っているスポット1点AFがありません。X10iのファインダー撮影で選べるのは、1点AF・ゾーンAF・ラージゾーンAF・自動選択AFの4つです。私はX10iの頃、いくつかのAFフレームがまとまった状態で使っていました。
今の5D Mark IVでは、AIサーボではなくワンショットAFで撮っています。その理由はフルサイズ編で書いています。
ライブでの設定|SSは1/250から、暗い箱では1/125まで
F値:その焦点距離で一番小さい数字にする
F値は、ズームした焦点距離で選べる一番小さい数字にしていました。55-250mmは、55mm側ではF4、250mm側ではF5.6が一番明るい値です。16-300mmなら、16mm側でF3.5、300mm側でF6.3です。ズームするとカメラが自動で選べる範囲に合わせてくれるので、ダイヤルを一番小さい側に回しておけば大丈夫です。
SS:最大でも1/250くらい
APS-Cはフルサイズに比べてセンサー全体で受け取れる光が少ないため、同じISO3200でもノイズが目立ちやすくなります。X10iでSSを上げると、ISOオートがすぐに上限の3200に張り付き、ノイズの多い写真になりがちでした。
そこでSSは最大でも1/250くらいに抑え、箱が暗いときはさらに下げて、ISOが上限に届く手前で撮れるようにしていました。
暗い箱では1/125くらいまで
下げるのは1/125くらいまでです。それより遅くすると、手ブレよりも先にダンスの動きに追いつけなくなります。そうなると、振り付けのキメで止まった瞬間くらいしかシャッターチャンスがなくなってしまいます。
| 会場の明るさ | SS | F値 | ISO |
|---|---|---|---|
| 明るい箱・ホール | 1/250くらい | その焦点距離で最小 | オート(上限3200) |
| 暗い箱 | 1/160〜1/125くらいまで下げる | その焦点距離で最小 | オート(上限3200) |
野外ライブ・野外特典会・撮影会では設定がまったく変わる
屋内とは、シャッタースピードを大きく変える必要があります。
晴天ならSS1/1000〜1/2000でも撮れる
晴れた日の野外ライブなら、SSを1/1000や1/2000まで上げても明るく撮れます。屋内では止めきれなかった速い動きまで止まるので、動きのある写真がめちゃめちゃ撮れるようになります。
M+ISOオートで撮っていると、晴天ではISOが一番下(ISO100)まで下がっても明るすぎる、ということが起こります。そのときはSSをさらに上げて明るさを調整します。X10iのSSは最高1/4000まで設定できます。
SS最大でもまだ白飛びしてしまうような時はF値を上げることで入る光を抑えて調整します。
特典会・撮影会ではジャンプ写真にも挑戦できる
屋内の特典会では、被写体が止まってくれるのでSSは1/60〜1/100くらいにしています。野外で明るさが十分にあり、SSを上げられるなら、ジャンプした瞬間を止める写真のように、屋内ではできない撮り方にも挑戦できます。
| 場面 | SS | F値 | ISO |
|---|---|---|---|
| 屋内ライブ(明るい箱・ホール) | 1/250くらい | その焦点距離で最小 | オート(上限3200) |
| 屋内ライブ(暗い箱) | 1/125くらいまで | その焦点距離で最小 | オート(上限3200) |
| 野外ライブ(晴天) | 1/1000〜1/2000 | その焦点距離で最小 | オート |
| 屋内の特典会 | 1/60〜1/100 | ソロF2.8~3.2 ツーショットF3.5程度 | オート |
| 野外の特典会・撮影会(ジャンプなど) | 1/640~1/2000程度 | 基本的には屋内と同じ SSで調整しきれない時はF値を上げる | オート |
※特典会のF2.8〜3.5は、EF50mm F1.8 STMを使ったときの値です。X10iでもこのレンズを付ければ同じF値で撮れます。キットレンズで撮る場合は、その焦点距離で一番小さいF値(F4〜5.6)にしてください。
雨の日は先にカメラを守る
X10iは、防塵・防滴をうたった機種ではありません。雨の中で撮るなら、撮る前の準備が大切です。
私自身はライブハウスでの撮影が中心で、雨の中で撮った経験はあまりなく、雨用の装備はまだ揃えていません。
ただ、野外で長時間雨に打たれるような場合は、次のような装備があると安心です。
- カメラ用レインカバー(またはビニール袋とテープで代用)
- レンズフードを付けて前玉に雨粒が当たりにくくする
- 撮らない間はバッグにしまう(防水カメラバッグ)
- 吸水タオルを持っていく
もし濡れて動かなくなったら、すぐに電源を切り、バッテリーとカードを抜いて、しっかり乾かしてから電源を入れ直してください。乾く前に電源を入れ続けるのは避けましょう。
撮影会・特典会で使うなら
私がX10iを使っていた頃は、一眼での特典会撮影ができないグループを撮っていたので、X10iでは主にライブの写真だけを撮っていました。
今は特典会を5D Mark IVとEF50mm F1.8 STMで撮っています。このレンズはX10iでも使えるので、当時から、ライブはズームレンズ、特典会は50mmと使い分けることはできました。
ただし、同じ50mmでも、APS-CのX10iに付けると写る範囲が狭くなります。フルサイズ換算で約80mm相当になり、5D Mark IVで撮るときより被写体が大きく写ります。同じ構図で撮りたいときは、少し後ろに下がる必要があります。特にツーショットでは、2人が収まる距離を取れるかを先に確認しておくと安心です。
- SS:被写体が止まってくれるので、会場の明るさに合わせて1/60〜1/100くらい
- F値:キットレンズでは、その焦点距離で一番小さい数字(F4〜5.6)
- レンズ:被写体との距離が近い(1〜2mくらい)なら18-55mm、離れているなら55-250mm
- AF:1点AFを顔の位置に置く
被写体との距離が分からない撮影会では、レンズを2本とも持っていくと対応しやすくなります。
まとめ
X10iはとにかく軽量で小回りの利くカメラです。
混雑したライブハウス、踏み台の上、最前でも最後列でも設定をしっかりすれば、
X10iのキットレンズでもライブは撮れます。
より暗い箱や遠い距離に対応したくなったら、私が使っている他のフルサイズ機や他のレンズも参考にしてみてください。
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